電子契約の普及や電子帳簿保存法の要件緩和によりタイムスタンプという言葉を耳にする機会が増えました。 ここでは、タイムスタンプの仕組みや利用方法についてご紹介します。
目次
ある時刻にその電子データが存在していて、その時刻以降に改ざんされていないことを証明する技術です。タイムスタンプに記録されている情報と元の電子データを比較することで、改ざんされていないことを証明することができます。
タイムスタンプと一緒に紹介されることが多い電子署名についても説明します。
電子署名は電子データが正式なものであり、改ざんされていないことを証明するものです。電子署名が改ざんされていないことを証明するために電子証明書(指定認証局が発行する証明書)を付与して改ざんされていないことを証明します。
存在時刻の証明 | 本人証明 | 非改ざん証明 | |
---|---|---|---|
タイムスタンプ | ○ | × | ○ |
電子署名 | × | ○ | ○ |
タイムスタンプと電子署名を一緒に付与することで、だれが、いつ作成したかを証明することができます。
タイムスタンプがどのような部門でどのような文書に利用されるのかまとめました。
関連部門・事業 | 対象文書の例 | 用途 | 補足 |
---|---|---|---|
研究・開発部門 | 研究報告・設計図・図面 | 日本国内の先使用権の証明 米国等の先発明主義への対応 | |
医療事業 | 電子カルテ | 電子保存のための法令対応 | 診断書など、記名押印が必要な文書を電子的に作成する際は、電子署名とタイムスタンプを付与する事が求められています。 |
営業部門/法務部門 | 契約書 | 電子契約書の真正性や非改ざん証明 | |
経理部門 | 電子帳簿保存関連書類(領収書、注文書等) | 電子保存のための法令対応 | 紙で受領した書類を電子化して、原本として取り扱う場合は、所轄の税務署への届け出が必要です。 |
タイムスタンプの生成から検証までの処理は次のような仕組みになっています。
また、タイムスタンプの仕組みについてはいくつか種類があります。今回はPAdES方式とXAdES方式について説明します。
対象ファイル | 複数ファイルへのまとめ付与 | 検証 | |
---|---|---|---|
PAdES | 可能 | 専用の一括検証ツールで対応 | |
XAdES | ファイルを選ばない | 不可 | Adobe Reader |
PDFへのタイムスタンプ付与のみでよいのか、様々な形式の電子ファイルに付与するかによって利用する方式を検討する必要があります。
実際にPDFファイルにタイムスタンプを付与するにはどのようにすればいいのかをまとめました。
方法 | |
---|---|
1 | Adobe Readerのタイムスタンプ付与機能を利用する |
2 | タイムスタンプ付与を行うためのシステムを利用する |
3 | 業務特化型のシステムを利用する |
Adobe Readerにはタイムスタンプを付与する機能があります。タイムスタンプを付与するためのシステムが不要なので、費用を抑えてタイムスタンプを付与できる可能性があります。
また、タイムスタンプを発行しているメーカーからAdobe Acrobat向けのプラグインなども提供されています。
しかし、個人ごとにタイムスタンプを付与するための設定を行う必要があったり、データ1つ1つにタイムスタンプを付与しなくてはいけなかったり、改ざんされていないかを検証する必要があります。
タイムスタンプ付与機能をもつ文書管理システムなどを利用することで、データを登録するだけで自動的にタイムスタンプを付与することができます。一括検証ができるため、監査の際に改ざんされていないかをまとめて確認できます。
電子契約の締結や、領収書や請求書の電子保管などの用途でタイムスタンプを付与する場合は、専用のシステム(サービス)を利用することでタイムスタンプを付与することができます。システムのフローに従い操作するだけで、タイムスタンプが付与されるため、利用者は手間もかかりません。
PDFへのタイムスタンプ付与であれば、どのような方法で付与する場合でもタイムスタンプを取得するための専用のサーバなどを用意する必要はありません。課題にあった方法でタイムスタンプを付与しましょう。
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PDFファイルのタイムスタンプの確認や検証は1ファイルであればAdobe Reader で開くだけでできます。
PDFファイル以外のデータを検証する場合は専用のツールが必要なります。
なお、複数のファイルを一括で検証する場合にはファイル形式に関わらず専用のツールが必要になります。
タイムスタンプを提供している会社は主に2種類に分かれます。タイムスタンプ自体を認証する時刻認証業務事業者(TSA)と、この時刻認証業務認定事業者のタイムスタンプを利用してタイムスタンプサービスを提供する事業者です。
一般財団法人日本データ通信協会の認定を受けている時刻認証業務認定事業者は現在(2020年8月)5社あります。
1 | アマノ株式会社 |
---|---|
2 | セイコーソリューションズ株式会社 |
3 | 株式会社TKC |
4 | 株式会社サイバーリンクス |
5 | 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 |
用途やサービス内容が違った事業者が複数存在します。こちらの事業者は上記の時刻認証業務認定事業者のタイムスタンプを利用して、自社のソリューションと合わせてサービス提供しています。そのため「タイムスタンプは付与したいけど、業務を行う中で自動的に付与してほしい」、という場合にはこういったサービスを利用することもできます。また、電子契約の締結後のタイムスタンプなどもこの方式で提供されています。
いかがでしたでしょうか。タイムスタンプを付与する文書管理システム「MyQuickクラウド」ではPDFに簡単にタイムスタンプを付与することができます。資料の回覧や承認を行うなかでシステムにPDFの資料を登録するだけで、自動的にタイムスタンプが付与されるため、難しい操作は一切ありません。また、監査の際の一括検証も、対象の文書を検索して一括検証ボタンを押すだけで検証できます。提供開始から25年で文書管理システムの基本機能も網羅しているMyQuickクラウドでタイムスタンプの付与を検討してみてはいかがでしょうか。
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