日々の業務を遂行する上で、文書管理は欠かせない作業の一つです。どの書類がどこにあるのか、すぐに分からなければ業務がストップしてしまい、仕事の効率が著しく下がります。また、情報の流出を防ぐためにも適切な管理が必要です。本記事では、正しい文書管理の手順や管理マニュアルの作成方法について、詳しく解説します。
目次
文書管理とは、紙や電子データ等の書類を適切な場所に保管することで、適切に閲覧できるようにすることです。文書管理が一般的なデスクや書類棚の整理整頓と違うのは、単純に見た目だけをスッキリさせればいいのではなく、一つ一つの文書が有する価値をきちんと見定めて、それに見合った場所に格納しなければならない点です。
業務における文書管理の目的は、次の2つです。これらについては、次項で詳しく解説します。
秘密情報や個人情報を確実に守ることは、文書管理においてとても重要なポイントになります。特に個人情報に関しては、2005年に個人情報保護法が全面施行されて以降、より徹底した文書管理を行うよう求められています。万が一個人情報を流出させてしまった場合は処罰の対象となり、物理的な損失に加えて、企業のイメージダウンは避けられません。
文書を適正に管理することにより、個人情報に関する書類の在りかが明確になり、社外への故意の持ち出し防止につながります。文書管理が不十分だと、「何が持ち出されたのか、いつ持ち出されたのかそもそも分からない」という状態になり、個人情報の流出に気づくまでに相当時間がかかってしまいます。
文書管理によって、業務の効率化にも大きな効果が期待できます。IT専門調査会社IDCの報告によると、「文書を探すために費やす時間は週4時間」、「文書を探したが見つからず、無駄にした時間は週2.7時間」、「文書を再作成するためにかかった時間は週2.3時間」にのぼるとされています。コストに換算すると、社内スタッフ一人当たり年間に184万円ほどの無駄が発生し、生産性のロスはなんと年間24.3%との結果が出ています。
文書管理を徹底的に行えば、こうした無駄やロスが発生しなくなり、その分他の業務に取り組むことができるでしょう。目的の文書が見つからないことによるストレスが減り、メンタルヘルスの面からも生産性の向上が期待できます。
業務改善につながる文書管理を実現するには、「文書管理システム」を利用するという方法があります。文書管理システムは、パッケージソフトやクラウドサービスなどの市販されているものを利用するのが一般的ですが、Excelなどの表計算ソフトを使って自作することも可能です。
【文書管理システムを利用するには】
パッケージソフトやクラウドサービスで市販されている文書管理システムは、安全かつ最適に文書を格納するために、優れた機能を持ち合わせています。紙文書などは電子化し、WordやPDF等の形式が異なるデータファイルを、文書の属性に合わせてグループ分けして、格納・管理します。同じ文書でも「年度・日付」「担当者」「部門」等のそれぞれの項目別に検索でき、短時間で探し出すことが可能になります。さらに、文書内のテキストを読み取る機能を搭載した製品なら、日付や担当者の情報がうろ覚えだったとしても内容から検索することができて便利です。
機密文書は関係者だけが閲覧できように制限できるため、情報漏洩の不安もありません。契約書の格納と同時に契約管理システムに登録するといった拡張サービスを備えている製品もあり、契約の不備を防ぎ、業務効率化を促進してくれます。
システムの導入にはコストがかかりますが、一から開発する必要がなく、「今すぐに何とかしたい」という企業にとっては強力なサポートになります。管理しなくてはならない文書が膨大にあるのに、時間や人手が足りないという場合は、市販のシステムの活用がおすすめです。
市販のシステムを導入するほどの予算がない、文書の中身を読み取るような高度な検索機能は必要ない、といった場合には、文書管理システムをExcelで自作する方法もあります。
まず基本となるのは、電子化した文書データの一つ一つに適切なファイル名を付けることです。自作のシステムでは、検索の手がかりとなるのはファイル名しかありません。契約書なら契約番号、工事図面なら施行管理番号、もしくは具体的なプロジェクト名や担当者名等、社内で検索しやすいファイル名を付けるようにしましょう。適切なファイル名を付けたら、フォルダに分類して格納します。
文書データの整理の他にやるべきことは、インデックスファイルの作成です。これは「ファイル名」「作成者」「作成年月日」等の、文書の属性情報を記載したファイルで、いわば“管理台帳”のようなもの。文書自体の検索や管理に必要な情報を、項目別にExcelにまとめて記載します。
文書データとインデックスファイルは必ずセットで使用するようにし、新しい文書を格納したらインデックスファイルも忘れずに更新するようにしましょう。
市販の文書管理システムと自作のシステムの違いは、保管した文書を整理するだけでよいのか、検索やセキュリティなどのプラスアルファの機能を求めるのかという部分にあります。前述したとおり、市販の文書管理システムでは文書の中身を読み取るといった高度な検索が可能になるため、多少大雑把にファイル名を付けたとしても、後から探すことができます。文書の追加と共にインデックスファイルも自動更新され、管理の手間がかかりません。
ただし、市販のシステムは導入コストはもちろんのこと、月々のランニングコストが発生することがほとんどです。費用対効果を考えて、貴社の条件に合ったものを選びましょう。
文書管理規定とは、次に述べる文書管理マニュアルと同様に、文書管理の規則を定めたいわばルールブックのようなものです。「文書管理規定」の方が「マニュアル」よりも上位に位置し、細かいルールというよりは大義を定めるといった意味合いを持っています。
文書管理規定は、法令や規格などの要求事項に基づいて組織ごとに定めるものです。
実際に文書を管理する実務者レベルに落とし込んだ運用ルールを、文書管理マニュアルと呼びます。文書管理システムを社内で円滑に活用するためにも、事前に運用ルールを作っておくことは重要です。文書管理マニュアルは以下のステップに沿って作成します。
まず、自社の文書管理マニュアルに必要な項目を決めましょう。一般には、下記のような項目が多く採用されています。
文書管理マニュアルが完成したら、即時に社内の全スタッフ間で共有しましょう。マニュアルは作成しただけでは意味を成さず、使う人全員がその利用方法を理解してはじめて、効果を発揮するものです。文書マニュアルは、誰でも簡単にアクセスしていつでも確認できるように、社内の共有プラットフォームの目立つ場所へ置いておくなど、保管場所にも工夫してみてください。
社内の文書管理には、細かいルール決めや徹底したマニュアル作りが大切です。「大変そう」「手間がかかりそう」と思われがちな文書管理ですが、市販のシステムを導入することで業務の効率化を実現できます。膨大な文書をスピーディーに検索でき、セキュリティ対策も万全。貴社の文書管理を一新させるソリューションをお探しなら、MyQuickがおすすめです。
ユーザー数無制限
お得なライセンス体系!
台帳項目を自由に設計、簡単検索!
サブスクリプション版と同等の機能をクラウド版で利用可能
無料お試しデモのお申込み、営業担当による詳細説明のご希望、資料請求のお申込みはこちらから